東トーバとロスティと 復興と防衛のための協力関係を結んだ東トーバとロスティ。この二つの街は、反ムーア軍の一大勢力拠点になっていた。その場所を取りまとめるのは、幼い異世界の少女であった。すでに『ムーアの砦』という異名を持つ少女の名はトリスティア。ハニーブロンドの髪を持ち、小柄で華奢な姿をした少女トリスティアは、私費を投じて『平和の要』となる二つの街を拠点に整備を進めていた。もちろん、その事業には多くの異世界人たちが協力する。 まず街の開発は、リクナビを通じた人手を募集を継続し、大規模な都市整備、開墾、練兵を行っていた。また、人手はリクナビを使って各地から募集するのと同時に、戦争難民の受け入れなども実行しようとしていた。これによって開発に必要な人材を増やそうというのだ。 「……こんなカンジでやろうと思うけど、どう思うかな?」 トリスティアのプランを聞いたのは、ムーア世界の街40箇所に、ムーア世界の英雄“トリスティアとリク・ディフィンジャーが握手する姿”を彫ったレリーフを飾った発案者ジュディ・バーガーである。 「んー!グレイッ!! ジュディ、もっちろ〜ン、賛成デス! 難民については〜、ジュディにも考えがありま〜ス! 聞いてくれマスカ〜?」 そんなジュディの言葉に、トリスティアが聞き入る。 「遥かな北の果てには「アマラカン」という聖地があるソウデスネ〜。この東トーバがムーア軍に攻略された際、多くの民が新天地を目指してアマラカンに遠く旅立ったと聞いてイマ〜ス。“東トーバとロスティが安定に向かっている”という情報をトリスティアがリクナビで伝えた以上、東トーバに戻りたがる人達も大勢いるのではナイデスカ〜?」 アメリカ建国の逸話を連想したヤンキー娘のジュディは、そんな彼等にシンパシーを覚えていたのだ。 「ジュディは、解放軍の実質的リーダーであるトリスティアの代理としてキソロまで東トーバの難民達を出迎えに行 きたいのデ〜ス!」 そんなジュディの相談に、トリスティアは快諾する。 「もっちろん、大歓迎だよ!!」 早速トリスティアは、難民を移動させるための馬車の調達、補給、護衛の派遣など、こちらからもリクナビを使った支援を行うことを約束する。また、特に東トーバから脱出した難民がキソロ方面から戻ってくるための支援は、リクナビリーダーとして協力を惜しまないと言った。 「実にトリスティアは話が早くて助かりマスネ〜!」 トリスティアの華奢な肩を豪快にジュディがたたくと、トリスティアも晴れやかな笑顔を見せた。 やがて、難民救助の馬車を含めた物資の用意を整えたジュディが東トーバを出立する。その道中の警備には、多くのリクナビ歩兵部が協力の名乗りを上げたという。予想外に大所帯となったジュディ率いる難民受け入れ部隊。この部隊の様子を上空から目の当たりにしたのは、キソロ領主のルテリだった。リーフェの予測とは違う形となったが、これをきっかけにルテリは解放軍側に味方することを決めたという。 |
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