東トーバ神殿
「……これしか方法がないのか?」
「レレとロロの力だけじゃ足りないっていうんだからしょうがないよね!」
紅色に点滅する扉。その扉を東トーバ側で維持するのはディックとリク、そしてユヅキとであった。
「……申し訳ありません……扉の維持と……人一人の移動に……これほど精神力を使うものとは……この重圧を内側で支えているレレさんとロロさんは……大丈夫でしょうか……?」
すでに西ゴーテより漁船乗組員たちを順次受け入れた東トーバ。扉を維持するために、多くの神官たちが協力していたのだ。やがて現われる移動を完了させたアクア、トリスティア、リリエルそしてリューナ。最後にこの扉を通った者たちは、内側でつぶされてゆく案内人たちを目撃する。
「……これでもう……扉は開かれる事はないよ……」
「ロロとレレが生きていた記憶……忘れないでいてください……お元気で」
無理な移動にかかる負荷と扉の崩壊。
異世界の者たちは、混沌とした世界を生きることを選んでいた。
この後、西ゴーテからの援助があった事を神官長ラハは、リューナから聞く事となる。
「……そうですか……わたくしたちだけではなかったのですね」
崩壊する世界を支えようともがく者たち。
けれどそれが自分たちだけではない事実を知ることは、新たな力を生む原動力となる。さらにいくつかの希望を、異世界の者たちより与えられた東トーバ。その先に何があるのか、道を開くのはこの世界にいる者たちだけであった。
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