−ムーア宮殿−
《亜由香》のいるムーア宮殿に戻ったフレア。
そこで待っていたのは、背中に炎の翼を持つ“魔”であった。
魔は、フレアをめざとく見つけると、側に降り立つ。
「あら? 感心。戻って来た子がいるじゃない」
中性的な雰囲気を持つ魔は、しげしげとフレアを見る。
「あんたは《亜由香》の味方になるのかしら? ま、あたしにはどっちでもいいわ。もし、いい夢が見たくなったら、あたしの所にいらっしゃい。……最高の夢を……」
魔が続けようとした時、その声を止める者がいた。
「瑠伽<るか>……やめなさい。わたしが連れて来た有能な者なのよ」
「あら、ご不満みたいね。それじゃ、あたしは退散させていただきましょうか」
声の主《亜由香》の登場に合わせて、魔は宮殿の上空へと舞い上がっていた。それを見送ったフレアが《亜由香》に聞く。
「僕、あの魔って気になるな。あの魔も、作戦に使えるの?」
「うふふ。そうよ。あなたの作戦、聞かせてくれるのかしら?」
そうして、新たな物語が始まる。