トリスティアの意識がはっきりとした時、そこにはヨーヨの気配と同時に、軍事警備会社社長ロブ・ロナンの顔が空間に浮かんでいた。
「この度は大変ありがとうございました。おかげで、目標は爆破されました。これからは安心してワタシども関連会社を通じてタガウノ星団の開発ができます」
まだ頭の曇りが消えないトリスティアは言う。
「? 成功したの? ボク、あの後、どうなったかよくわからないんだけど?」
「そうですねぇ、あの消火ランチャーの泡消火剤には、タンパク質を加水分解したものが入っていた……と申し上げれば状況がわかりやすいかと思いますよ」
陶器の炉内部と同程度の高温。その中での水分。床面での爆発は動力炉へ誘発を起こし、拡散しようとする熱量はラクノアの装甲によって遮断されて収縮し、さらなる大爆発を引き起こしたのである。
“15km級ラクノスハ粉々ニ爆破サレレマシタ……××計測……破片ノ大キサ最大130cm……軍事警備会社ニテ個別回収可能範囲デス×××……ゴ苦労様デシタ!!”
この応えを聞いてトリスティアが小さな胸をなでおろす。
「よかった! じゃ、お仕事料は振り込んどいてね!」
陽気で明快なトリスティアにロブが快諾する。
「もちろんですよ」
続けて“ヨーヨ”が計算する。
“×××……送金ニ3日程度オ待チクダサイ……×××”
その応えを聞いて、トリスティアが手を振って別れる。トリスティアの冒険は、これからまだまだ続くのだ。
蛇足であるが、トリスティアの去った後。
「お? ようもこないな仕事引き受けてもろうたな。なんや、この安さ」 ××……アッチノダンナハ、何ガナンデモ、ランチャー使ワセタイ意向デヤシテネ……高ク設定シスギルノモ…………×× 「ほぅお? 食わせモンはどっちゃの世界にもおるようやな……」 |
『紫の扉』ではこんな会話があったというが、定かではない。
何はともあれ、タガウノ星団は、異世界人の少女トリスティアの活躍によって救われたのだ。
この星団が新たな冒険の舞台となる日も来るかもしれない。
『ラクノア』世界に広がる宇宙。そこにきらめく星々は、今も変わりなく瞬いている。