烏谷コウマスター世界シナリオ

　"ガジェット"による暴走事故が最近多発していたサンクチュアリ世界。
　それは、異世界の冒険者たちにより、"湖の乙女"を名乗るメイドガジェットらの仕業であったと判明した。

◆1.ガジェット暴走事件始末記

　異世界の冒険者たちによって、"湖の乙女"を名乗るメイドガジェットたちが大人しくなった。そのしばらく後に、サンクチュアリ警備隊が到着したのである。
　事件の首謀者であるメイドガジェットエレインと、その部下ヴィヴィアンは、警備隊に確保されていた。一方、発明卿の解凍作業に入っていたメイドガジェットニムエは、そのまま研究所内にて警備隊監視下で作業することとなる。
　これらの指揮をとったのは、サンクチュアリの円卓議会所属議員であるアーサーだった。車椅子に乗った青年アーサーは、自身の車椅子を押すメイドガジェットグウィネヴィアに笑いかける。
「……さて、これでグウィネヴィアが暴走することもなくなるわけですね。サンクチュアリ一連の暴走事件も、異世界の方たちのおかげで解決です」
　そうして事件解決に貢献した冒険者たちに、その貢献度に応じて、報酬が支払われる。さらに貢献の大きな者には、サンクチュアリが危機に瀕した際、国権の維持に多大な貢献をした者に与えられる勲章である「サンクチュアリ大勲章」が授与されていた。なお、この勲章を持っていると、サンクチュアリでは尊敬の眼差しが向けられ、また議会が運営している交通機関・施設であれば、無料で利用できるというものであった。
「ああ、あと一つ忘れてはいけませんね」
　お礼作業はもれなく、をモットーにするアーサーが円卓議事堂崩壊の際に活躍した異世界人にも報酬の支払いを手配していた。

◆2,発明卿のお目覚め日は、お祭り騒ぎ♪

　メイドガジェットニムエによる発明卿の冷凍睡眠からの解凍作業は、作業開始日から二か月後に完了する。
　この日にあわせて、サンクチュアリはお祭り気分が盛り上がっていた。何しろ10年も行方不明だった発明卿が見つかり、そしてもう間もなく復活するというのだ。
「いや生きておられてよかったよかった」
　まずは生還を喜ぶ者や、
「きっとこの後も、ものすごい発明でびっくりさせてもらえるんじゃないか？」
　すでに次の発明を期待する者まで、様々な思いを抱えて、サンクチュアリの人々は、発明卿のお目覚め日を待っていた。

、まもなく目覚めるという発明卿の様子は、逐一実況付きテレビ放送予定で、放送設備がアバロン研究所内に持ち込まれている。もちろん、研究所の外にも発明卿の帰還を喜びたい市民たちが集まり始めていた。

◆3.不穏な動き

　テレビ放送予定のアバロン研究所には、発明卿の娘シャルロット・アンブロジウスも来ていた。シャルロットもテレビ放送に出演する予定になっていたのだ。
『テレビでは、親子対面だとか何とか、お涙対面場面を放送したいってわけよね。冗談じゃないわ』
　シャルロットは、再び手に入れた大口径の銃をバッグに入れてつぶやく。
「さんざん心配かけた父さんを、ただですませてあげる気はないわ！」
　そのシャルロットは、アバロン湖研究所を見まわしながら、現の記憶がよみがえる自分に戸惑っていた。
「子供の頃に来た他に、最近この場所で温かなものに触れていたような……何だったのかしら」
　自分自身の記憶に戸惑いつつも、何かやらかしそうな気配を漂わせるシャルロットだった。

　一方、この日、サンクチュアリ警備隊監視下にいたメイドガジェットたちが脱走したという。脱走したのは、ガジェット暴走事件の首謀者であるメイドガジェットエレインと、その部下ヴィヴィアン。
「発明卿が目覚めるでちって。断じて、このままにしておきまちぇんわ」
「うーん……そうはいってもなぁ」
　エレインの計画に、乗り気ではないヴィヴィアン。だが、エレインが手にした小さな林檎が輝くと、ヴィヴィアンの気も変わったようである。
「ふん。ふぬけた父様に活を入れるってわけだね。了解」
「そうでちゅ。そのまま、さらってちまいまちょう」
　発明卿誘拐計画を立てるメイドガジェットエレイン。そのエレインの手には、大分小さくなっているが、ガジェットを遠隔操作できる金色の林檎が握られていた。

　サンクチュアリ全体がお祭り気分の中、不穏な計画も進む「発明卿が目覚める日」。
　この日にサンクチュアリを訪れる異世界人たちは、どう行動するのだろうか。

「おかえり発明卿。お目覚めの日」

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