「英雄復活リベンジ・オブ・ジャスティス」
第1部「アジア編」

ゲームマスター:いたちゆうじ

【参加募集案内】(第3回/第1部全3回)

サブタイトル「死の行進・日本乗っ取りだニャーの巻」

「臨時ニュースです! 大変です! 超甲人1万人の部隊が新宿から行進を開始しました! か、彼らの向かう先には霞ヶ関が、永田町があります!」
 リポーターが大声を張り上げている。
 テレビ画面に映しだされた光景は、まさに悪夢だった。
 自動小銃、ライフル、バズーカ、レーザー、投げ槍、マサカリ、ムチ、包丁、剣、刀、捕虫網、とりもち……。
 ありとあらゆる武器で武装した超甲人1万人の部隊がずらっと整列し、規則正しく行進を始めていたのである!
 画面いっぱいを埋め尽くす超甲人たち。
 彼らの行く手にあるものは次々に破壊されてゆく。
「ニャーッハッハッハ! いけいけ、やれ! 全てを薙ぎ倒し、国会までいって占拠するだニャー!」
 超甲人たちの上空にはネコ男爵が現れ、くるくる旋回しながら大はしゃぎだ。

「ついに、日本征服計画を本格化させるようですね」
 アーマードピジョンのスタッフが超極秘チャット会議を行う電脳空間で、グレイト・リーダーは淡々と指示を出していた。
「霞ヶ関を、そして永田町の国会を破壊して、占拠するつもりのようです。超甲人たちがこれほどまでに結集してひとつの国の占拠を意図するとは、世界的にも例のないことです」
「何しろアメリカ占拠を半ばまでしかかっていたのを打ち切ってこちらに兵力を集中させるのですから、よほどの事情があるのでしょうね、この征服計画には」
 スタッフはかなりテンパッた口調だ。
 グレイト・リーダーは遠い目になった。
「リーダー、どうなされますか?」
「これは逆にチャンスです。こちらもできる限りの兵力を集めて正面からぶつけましょう。特にネコ男爵をつぶすことを考えます」
 リーダーがそういったとき、スタッフから声があがる。
「に、日本愛猫家連盟(にほんあいびょうかれんめい)から通信が! 『何だか大変なことになってるみたいだけど、もしあんたらがネコの生命を粗末にするなら、ガーディアンの生命も粗末にしていいってことだよね』こ、これは脅迫ですよ」
「やれやれ、仕方ありませんね。日本愛猫家連盟はマスコミにもよく登場しますし、社会的な影響力が非常に強い団体です、無視はできません。そこで私の案ですが、ネコ男爵は、もともとは普通のネコだったといいます。そのころの飼い主を探すのです。いま、すぐに」
「はっ!」
 リーダーの指示に、スタッフは捜査を開始する。
 そのとき。
 新宿付近をモニターしていたスタッフから、またも悲鳴をあがる。
「み、みて下さい。巨大兵器が投入されています!」

「みなさん、大変です! さらに巨大ロボットが、3体も!」
 リポーターのあげる声はいまや泣き声と化していた。
 腰に布をまとっただけで、ほとんど全裸のマッチョなアニキ型ロボットが3体、超甲人1万人部隊の中にまぎれてのしのし歩いてくる。身長はそれぞれ40〜50メートルくらいだ。
 デッドジャイアント。
 アルファ、ベータ、ガンマの3体だが、巨体をいかした肉弾戦が得意なのか?
「ふっふっふ、ガーディアンに女性が多いことを利用したこの3体のロボット、勝つことは難しいぞ! いや〜、ワシは天才だニャ〜」
 ネコ男爵は嬉しそうにくるくるまわっている。
 実は、この3体のロボットの切り札は、「腰布を外して股間を露にする」ことなのだ。
 デッドジャイアントの股間には女性の精神に作用して激しい嫌悪感を引き起こさせる秘密の科学兵器(笑)が内蔵されており、女性のガーディアンは直視しただけでパニック症状に陥り、まともに行動できなくなるらしい。
 もっとも、男性ガーディアンは特に何も感じないらしいが。

 再び電脳空間。
「富士の樹海に着陸した、フルメタルの様子は?」
 グレイト・リーダーの質問に、富士監視班から連絡が入る。
「全く、動きをみせていません。戦車の姿のまま、電源が切れたようになっています。実は、調査班が中に入り込んでいるのですが、どんな操作をしても全く動きませんし、機能を解析することもできないそうです」
「ふむ。人が中に入る事を許す、とは、もしや我々を試しているのでは?」
 リーダーがそういったとき、監視班が悲鳴をあげる。
「大変です、デッドクラッシャーズのヘリコプターがこちらに接近しています!
 ちょ、超甲人機もいます!」
「やはりきましたか。ガーディアンの何人かをそちらに向かわせます。何とかしてフルメタルを機動させ、東京まで援助にこさせられればいいのですが。デッドクラッシャーズの手にあれを渡すわけにもいきませんし」
 グレイト・リーダーは監視班が送る映像を眺めた。
 デッドクラッシャーズのヘリコプター部隊には頬をペイントし、ライフルや自動小銃を構えたグリーンベレーの超甲人が多数搭乗している。
 そして、樹海をのしのしと歩く、身長15メートルほどの巨大なゴリラ型超甲人機。
 デッドコングだ。
「デッド、デッド、デッドコングゥ!」
 デッドコングは歩みを止めていきなり排泄を開始。大量に出てきた自分のフンをつかむと、あちこちに投げ飛ばし始めた。
「あのフンは、爆弾が内蔵されてるほどか、相手の動きを絡めとる効果があるようですね。怪力もあるようですし、恐ろしい相手ですね」
 グレイト・リーダーは、誰に樹海まで行ってもらうか考え始めた。

 首相官邸。
「首相、ついに奴らが本格侵攻を開始しました」
「うむ。まさに正念場だな。よし、例のアドレスにメールを送ってくれたまえ。私はこれからローリー司令官に電話する」
「はっ」
 首相の指示で、官房長官はいつ送っているアドレスにメールを送信する。だが、官房長官もそのアドレスが誰のものなのかは知らない。
 首相は、電話を東京湾に展開している在日アメリカ軍の超巨大空母にかけた。
「ローリー司令官か? 私だが」
「ああ、どういったご用件で? デッドクラッシャーズですか?」
 ローリー・コンドラチェフ総司令の野太い声が返ってくる。
「そうだ、わずらわしい手続きを行っている暇はない、ただちに協力をお願いしたい」
「わかっていますよ。精鋭部隊を派遣します。アメリカは、デッドクラッシャーズと全面戦争を始めたところですからな。ところで、お聞きしたいのですが」
「何かな?」
「アーマードピジョンのガーディアンについては、どうなさるんです?」
 首相は、しばらく沈黙の後答える。
「日本政府は、アーマードピジョン及びガーディアンの活動を公認してはいない。それだけだ」
「了解、意地悪をいうのはよしましょう。障害にならなければよし、我々を妨害するようならただちに攻撃します。日本政府非公認とのことで、彼らとの共闘も考えないことにします。ただ、我々は彼らの所有するレッドクロスに極めて高い関心を持っています。1体ぐらい捕獲しても構いませんかな」
「ノーコメントだ。あくまでも日本防衛に協力するという目的の範囲内で行動して欲しい」
「わかりました。ただ、私も、上からの命令には逆らえませんよ。その点はご了承願いたい。それでは」
 電話は切れた。

「くっくっく。エリカよ、出てくるがいい。この前は失敗したが、そうはいかんぞ。お前を殺すための技は考えてある。命令だからな、必ずやらせてもらうぞ、くっくっく」
 超甲人機、デッドカマキリは霞ヶ関付近に身を潜ませ、武装メイドへの変身能
力が手に入れたエリカが戦場に登場するのを待ち受けていた。

「やれやれ、今度は何だ、行進を始めて? 霞ヶ関を叩きたいなら、すぐにやればいいじゃないか」
 テレビ画面をみながら、ガーディアンたちはまたも不可解だという表情を示す。
「やっぱりこれも、何かの陽動だろうな。どさくさに紛れて何かとんでもないことをやるつもりだろう」
「うん、でも、何をやろうとしてるのか、今回は読めないな。それに、陽動だとしても、1万人の部隊というのはすごすぎるぜ」
「半分本気の陽動だろう。超甲人たちが無事霞ヶ関に着いたなら、本当に占領しちまうんだろうさ」
「ところで、今回デッドナイトはどうしたんだ?」
「さあ、姿をみないな」

 デッドナイトは東京の外れ、山中の墓地で不気味にたたずんでいた。
「デッドナイトよ。今回の作戦、奴がしくじったときは頼むぞ」
 極東支部の司令から通信が入るよ。
「わかりました、ゲソ部長。必ずや最高の成果をご覧に入れましょう」
 デッドナイトは、司令を正式な階級で呼んだ。
 司令は無言のまま通信を切る。

 悪鬼ヶ原でなぜかメイド喫茶の中を覗きこんでいるエリカ。
「また、人が多勢死のうとしている。それも、日本の行政にために働いている人たちが犠牲になるなんて、見逃せない。私は、行きます。でも、その前に両親に逢っていきたい」

「巨大空母所有のガーディアンに、使用許可を出します。また、首相付近に隠れボディーガード役として数人潜ませて下さい。人命第一の原則については、少人数ながらレスキューチームを今回派遣します。本当ならエリカさんにレスキューチームのリーダーをやってもらいたかったのですが、いまは無理ですからね。チームのリーダーは私が務めることにします」
 グレイト・リーダーから矢継ぎ早に指示が下る。

 さあ、日本の命運を決する闘いの始まりだ!

【シナリオ登場キャラクター(NPC)】

☆ネコ男爵☆
 デッドクラッシャーズ極東支部の大幹部の一人。ネコと人間を合体させたサイボーグ。超甲人1000人(今回は1万人)の部隊を指揮する。可愛い外見とは裏腹に性格は残忍で「虐殺だニャー!」を口癖に、凶悪な作戦を次々に遂行する。必殺技「ネコヘッドアタック」。

☆デッドナイト☆
 デッドクラッシャーズ所属だが、特定の支部には所属せず、自分の意向で自由に行動できる謎の戦士。黒い馬にまたがって空中を駆けまわる騎士型。単独でアメリカのペンタゴンを壊滅させたという実績を持つ。倒したときの報酬は大幹部扱い。必殺技「デッドソード一閃」

☆デッドジャイアント☆
 腰布一枚身につけたきりの、マッチョなアニキの姿をした巨大ロボット。腰布を取り去ることで女性をパニック症状に陥れるというが……? アルファ、ベータ、ガンマの3対が存在し、合体機能もあるのではと噂されている。必殺技「フルーチン」

☆デッドコング☆
 ゴリラ型超甲人機。巨大だが、ジャイアントほどではない。自らのフンを投げつけるという、くらった側にしては屈辱的な技を使う。怪力の持ち主でもあるらしい。必殺技「デッドスルー」

☆デッドカマキリ☆
 前回のリアクションにて事前の予告なしに登場した、カマキリ型超甲人機。エリカ抹殺の命令を受けている。壁をよじ登ることができ、巨大なカマを使って攻撃する。必殺技「デッド大切断」
 
☆グレイト・リーダー☆
 平和維持組織「アーマードピジョン」のリーダーと呼ばれる謎の人物。その姿をみた者はなく、指示は常にネット経由で送られてくる。一説によれば、ネット上にしか存在しない仮想人格(人工知能AI)であるといわれるが、真相やいかに?
 
☆エリカ☆
 デッドクラッシャーズのアジトで研究に従事している亜細亜博士(プロフィール不明)の助手を務めていた少女。光のクリスタルを持って組織を脱出したがネコ男爵につかまり、瀕死の重傷を負ったがレッドクロスの力で復活、武装メイドに変身できるようになる。アーマードピジョンを飛び出した彼女だが、今回、霞ヶ関の人々を救出に現れる可能性が大だ。

☆ローリー・コンドラチェフ☆
 在日アメリカ軍の総司令官。「ロリコン」と呼ばれると怒る。日本の首相の要請に応じて今回精鋭部隊を派遣するらしい。アーマードピジョンやガーディアンに対して微妙な発言を行っている。

【アクション案内】

i1.デッドジャイアント&超甲人1万人部隊と闘う
i2.ネコ男爵と闘う
i3.富士の樹海にてフルメタルを防衛し、機動させる
i4.首相をボディガードする。
i5.エリカをアーマードピジョンに呼び戻す
i6.レスキューチームとして仲間や一般市民の救助活動にあたる

【報酬一覧】

・超甲人機を倒す 1体につき1、000万円(ジャイアントも同じ金額)
・大幹部を倒す 1体につき5、000万円
・超甲人1万人部隊の霞ヶ関・永田町到達を阻止する 2、000万円
・エリカをアーマードピジョンに呼び戻す 1、000万円
・フルメタルを保護し、機動に成功する 1、000万円
・一般市民の救助活動に多大な貢献をする 1、000万円
 そのほか、作戦中の功績に応じて随時報酬が支給されます。
 特に功績がなかった方にも、日当として5万円だけ支給されます。

【マスターより】

 いよいよ第1部も最終回となりました。デッドクラッシャーズの日本乗っ取りは成功するのか? ついにアメリカ軍も動き出す中、アーマードピジョンも政治的な立ち回りを要求されそうです。デッドジャイアントは女性ガーディアン封じのスキルを持つという(笑)侮れない相手。男性のみなさんにがんばってもらうしかないかな? 前回のデッドカマキリのような「サプライズ超甲人機」は今回もやろうと思っているので(笑)お楽しみに。

【次回サブタイトル】(予定)

「ネコ男爵の正体! 最期のお別れ大決戦」

【たとえばこんなPC&アクション】

・ヒーローは、敵と闘うばかりではない。レスキュー系のヒーローを作成し、救助活動専門で活躍するのもよいでしょう!(レスキューシリーズって特撮ものにありましたよね♪)
・開発担当として、科学者等のPCで参加することも可能! 超兵器を開発して戦場に華を添えよう! 
・人間のPCでなくてもOK。ロボットでもいいし、宇宙人・妖怪などでも可(笑)。レッドクロスがなくても変身できたりして?
・行政が頼りにならないなんて、そんなことはないぜと、刑事等のPCで参加も可能! その場合でもピジョンに所属させることは可能! あえて所属の傭兵にはせず、レッドクロスも必殺技もなしにすることもできますが、戦闘は難しいかも?
・せっかく用意してくれた女性NPCと仲良くならないなんて、俺のPCの道に反する(笑)というわけで、エリカを守って、後のラブラブを狙え〜! ストーリーの大筋を無視してひたすら愛の世界に!