「英雄復活リベンジ・オブ・ジャスティス」
第1部「アジア編」

ゲームマスター:いたちゆうじ

【参加募集案内】(第2回/第1部全3回)

サブタイトル「戦慄! 横浜でファイナルイベントの巻」

「臨時ニュースです! 大変です! 横浜の街にデッドクラッシャーズ戦車部隊が現れました!」
 リポーターが大声を張り上げている。
 テレビ画面に映しだれた横浜は、まさに火の海だった。
 中華街が燃えている。
 そして、あのホビー・デルタ社のビルも炎に包まれていた。
 ドゴーン! ドゴーン!
 デッドクラッシャーズの超甲人たちが乗り込む装甲戦車隊が、通行人をキャタピラーで押しつぶし、街路樹をなぎ倒しながら、砲門から次々に火を放つ。
「デッド、デッド、デッドタートル!!」
 よくみると、戦車の中に、巨大なカメにしかみえない超甲人機も混じっている。
 ドゴーン、ドゴーン!
 その巨大なカメ、デッドタートルも甲羅に砲門がついていて、砲撃を行っているようだ。

「また、派手にやり始めたなあ」
 テレビ画面をみるガーディアンたちは口々に声をもらす。
「おい、ホビー・デルタ社って、あの医療機器で有名な会社だろ?」
「ああ、十年ほど前、一度経営が危機に陥って大変だったらしいけど、何とか立ち直っていまのような大企業に成長した会社だな。確か、研究部門にドクター・リスキーという世界的に有名な医学博士が在籍してるって話だぜ」
「でも、何で『ホビー』なんだろうな」
「さあ」

「あっ、みなさん、みて下さい、今度は空から、戦闘機、っていうかコンドルが現れました!」
 大空をあおいでリポーターが悲鳴のような声をあげる。
 巨大なコンドルにしかみえない超甲人機が横浜上空を滑空し、超高層ビルの屋上に降り立つ。
「デッド、デッド、デッドコンドルゥ!」
「うーん、あれはいったいどんな役目が?」
「空から戦車を襲撃しようというものを防ぐために配置したのかな?」

「しかし、デッドクラッシャーズもだんだんやり方が過激になってきたなあ。ああいう戦車のようなのが出てくると、レッドクロスだけでは辛いものがあるよね」
「うん。先日悪鬼ヶ原の闘いで入手したというクリスタルも、依然として力の使い方がわからないみたいだし」
「フルメタルがあればなあ」
 誰かが、ボソッと呟いた。
「フルメタル? 何それ?」
「知らないのか? 日本政府はいまでこそデッドクラッシャーズに対して無策に等しいけど、以前はちゃんと対策を考えていて、自衛隊で、対デッドクラッシャーズ用の秘密兵器を開発していたんだ。何でも、フルメタルという巨大なロボットで、その頭脳には現代科学の最先端の技術が使われていたらしい。でも、デッドクラッシャーズはフルメタルの建設計画を知って、研究施設を破壊、微調整の終わっていなかったフルメタルも炎の海の中に消えたという話だ」
「ふーん。でも、破壊されたならまたつくればいいのに」
「簡単にいうなよ。研究施設が破壊されたとき、日本政府は優秀な人材をほとんど殺害されたらしい。フルメタルの人工頭脳を設計した天才科学者も暗殺された。巨額の予算をつぎこんでいたのに、全部パーになってしまって。以来、政府はすっかりデッドクラッシャーズ対策に及び腰になってしまった」
「そこから、アーマードピジョンの活動黙認にもつながってくるのか。みんな、知ってるか? 日本政府がひそかにピジョンに資金援助を行っているという噂を?」
「ええ? わからん話ではないが、本当だったら大変な話だぜ。俺たちのやってることは法的にはメチャクチャなわけで、決して政府に公認されるような存在ではないんだ」
「まっ、法律なんて、いまのこの日本の状況で、どこまで権威を持つか怪しいもんだけど」

 アーマードピジョン本部より、ガーディアンのみなさんへ。
 テレビでの報道にもある通り、横浜がデッドクラッシャーズの襲撃を受けています。戦車部隊は厄介ですが、レッドクロスの力で破壊不可能なわけではありません。ただちに出動して下さい。
 ところで、いつも申し上げていることですが、アーマードピジョンは人命第一をモットーとしています。特にこのところ、市民団体の中で私たちを非難する声が高くなっています。作戦にあたっては、これまで以上に人命に配慮して下さい。

「はあ。人命第一といったって、救助に貢献した奴にどこまで報酬が出るものやら」
「要するに敵を倒しちゃえば、それが最大の人命救助ともいえるわけだし」
「あっ、おい! テレビをみろよ」
 ガーディアンたちは、仲間の声にリポートに注目する。
 テレビ画面には、「日本平和主義連盟」の旗を掲げた市民団体の姿が。
「アーマードピジョンは、法を無視し犠牲を厭わない、偽善者の集団だー!」
「ガーディアンたちは、結局武力を使って相手を破壊して楽しんでいるだけの『戦バカ』野郎どもだー!」
 ガーディアンたちの目が点になる。
「何だ、あいつら。戦車部隊が迫っているというのに、あんなところで?」
「俺たちの活動に対する抗議か? 俺たちが破壊活動してるというのを実際に記録するつもりでもあるんだろうな」
「しかし、おかしいぜ。あいつらは完全平和主義を訴えたいらしいが、平和を守るためには最低限の武力が必要なはずだが」
「ああ、まあ、いつの世もああいう過激な主張をする連中がいるもんだが。困ったな。あいつらにはどいてもらいたいんだが。居座られて、戦闘の犠牲になったりしたら、それこそ俺たちの悪評が流れる」

「おい、みろよ!」
 さらに、驚くべく光景が。
「デッド、デッド、デッドサンダァ!」
 巨大なクワガタにしかみえない超甲人機が、横浜駅西口に現れる。
 そして。
 真黒なクリスタルが空中に出現し、巨大クワガタに闇の波動を送りこむ。
 すると!
「う、うおおー!」
 ガーディアンたちは絶叫した。
 巨大クワガタは、みるみるうちにより巨大な姿へと変貌し、ついに身長50メートルの怪獣(デッドサンダーMk.II)になってしまったのである!
「デッドサンダーって、先日倒された奴なのでは? 量産されてるのか?」
「しかしあそこまで巨大となると、もう、めちゃくちゃだな」
 デッドサンダーMk.IIが市街をのし歩いて破壊を繰り返す光景をみながら、ガーディアンたちは開いた口がふさがらなくなった。
 そのとき。
「み、みなさん、何でしょう、あれは! みて下さい!」
 リポーターの指さす方向の空から、灰色の、巨大な戦闘機が飛んできた。
「な、何だあれは!?」
 ガーディアンたちは固唾を飲んで見守るが、戦闘機は宙に浮かんだまま静止した状態だ。
「動こうとしないな。いったい?」
「まさか……フルメタル?」
 誰かが呟いた。

「フッ、やはり現れたか」
 全身黒ずくめの甲冑の騎士が、空駆ける馬に乗って横浜の上空を駆ける。
 目指すは、謎の戦闘機。
「巨大兵器で街を破壊すれば、必ず飛んでくると思っていたぞ。今後の作戦には奴の電子頭脳が必要なのだ!」
 デッドナイトは戦闘機に向かって飛んでいくが、果たして?

「ネコ男爵よ、前回の作戦に失敗し、お前の生命はないところだが、策があるというのだな?」
 デッドクラッシャーズ本部では、司令に呼び出されたネコ男爵が震えあがっている。
「ニャ! 申し訳ございません! かくなるうえは、ワタクシの命運をかけ、○○暗殺計画を実行に移させて頂きます!」
 血走った目でネコ男爵は叫んだ。
 ○○の中にはいったい何が入るのか?

 首相官邸。
「首相。デッドクラッシャーズは、ついに巨大兵器を」
 官房長官は真っ青な顔で、テレビ画面に見入っている。
「うん。例のアドレスにメールを送っておいてくれ」
 首相はそれだけいって、宙をみつめた。

 アーマードピジョン本部管轄の病院では、悪鬼ヶ原の闘いで負傷し、収容されたエリカが意識不明のまま昏睡状態に陥っていた。
「どうです? やはり記憶を取り出すしかないでしょう?」
「はい。全身にデッドクラッシャーズの開発した毒物質がまわっています。レッドクロスの力には毒を中和する力があるのでガーディアンは平気なわけですが、生身の人間が毒物質をくらって、復活するのはほぼ不可能です。ただ、いまはホビー・デルタ社にいるドクター・リスキーなら治せるかもしれません」
「ドクター・リスキー? あの変わり者ですか。彼には記憶だけ取り出す手術を依頼したのですが、断られましたよ。『私は患者を治療し生命を救うという依頼しか受けない』というのですから。それで、治療する依頼を行おうとしたら、法外な費用を要求されました。信用できない相手です」
「ええ。ですが、ドクター・リスキーは毒物質の研究で世界的な権威なので、どうにかできるのではと思うのですが」
 いずれにせよ、放っておけばエリカの死亡は確実だ。

 ホビー・デルタ社。
「先生! 早く避難を」
「いかん、このビルには多くの患者が収容されている。その中には、私の患者もいるのだよ。見捨てていけるかね?」
「しかし、先生が亡くなったら世界から希望の火がひとつ消えることになります!」
「避難しないわけではない。まず患者たちを全員避難させてくれ。時間がかかるかもしれんが、私はそれから行く」
 ドクター・リスキーの頑固さに根負けして、看護婦は引き下がる。
「私は死ぬことなど恐れていない。最後まで誇りをもって生きられるかどうかだ」
 迫りくるデッドサンダーMk.IIの巨大な姿を窓ガラスからみても、ドクター・リスキーには動揺の気配がみられなかった。

【シナリオ登場キャラクター(NPC)】

☆ネコ男爵☆
 デッドクラッシャーズ極東支部の大幹部の一人。ネコと人間を合体させたサイボーグ。超甲人1000人の部隊を指揮する。可愛い外見とは裏腹に性格は残忍で「虐殺だニャー!」を口癖に、凶悪な作戦を次々に遂行する。必殺技「ネコヘッドアタック」。

☆デッドナイト☆
 デッドクラッシャーズ所属だが、特定の支部には所属せず、自分の意向で自由に行動できる謎の戦士。黒い馬にまたがって空中を駆けまわる騎士型。単独でアメリカのペンタゴンを壊滅させたという実績を持つ。倒したときの報酬は大幹部扱い。必殺技「デッドソード一閃」

☆デッドタートル☆
 デッドクラッシャーズ戦車部隊を率いる超甲人機。巨大なカメである。装甲は厚く、破壊力は強大。ひっくり返されると起き上がれなくなるが、非常に重いので無理らしい。必殺技「デッドタワシ」

☆デッドコンドル☆
 デッドクラッシャーズの超甲人機。巨大なコンドル。空中戦を得意とする。攻撃方法はクチバシ、かぎ爪。飛行速度は音速を超えるらしい。必殺技「デッドソニック」

☆デッドサンダーMk.II☆
 デッドクラッシャーズの超甲人機。超甲人機は破壊されてもMk.IIという量産型として復帰するが、性能は以前より落ちる。このデッドサンダーMk.IIも例外ではないが、闇のクリスタルの力で巨大化しているので厄介だ。必殺技「デッドサンダー」

☆グレイト・リーダー☆
 平和維持組織「アーマードピジョン」のリーダーと呼ばれる謎の人物。その姿をみた者はなく、指示は常にネット経由で送られてくる。一説によれば、ネット上にしか存在しない仮想人格(人工知能AI)であるといわれるが、真相やいかに?
 
☆エリカ☆
 デッドクラッシャーズのアジトで研究に従事している亜細亜博士(プロフィール不明)の助手を務めていた少女。光のクリスタルを持って組織を脱出したがネコ男爵につかまり、瀕死の重傷を負ったところをガーディアンに救出される。生死の境をさまよう彼女の運命やいかに!?

☆ドクター・リスキー☆
 現代医学の権威といわれる、天才的医学博士。医師として、数々の困難な手術を成功させるが、法外な値段で報酬を要求するため、嫌われている。特に毒物質の除去に優れるという。現在はホビー・デルタ社の研究部門に所属し、会社で経営している病院の患者の診察も行っている。

【アクション案内】

i1.デッドタートル&戦車部隊と闘う
i2.デッドコンドルと闘う
i3.デッドサンダーMk.IIと闘う
i4.デッドナイトと闘う
i5.エリカを回復させ、クリスタルの秘密を聞く
i6.平和主義の市民団体を説得する

【報酬一覧】

・超甲人機を倒す 1体につき1、000万円
・大幹部を倒す 1体につき5、000万円
・日本平和主義連盟の人々を撤退させる・保護する 1、000万円
・エリカを回復させる 1、000万円
 そのほか、作戦中の功績に応じて随時報酬が支給されます。
 特に功績がなかった方にも、日当として5万円だけ支給されます。

【マスターより】

 このシナリオ、NPCが多いですね。まあ多くはその回で破壊されるわけですが(笑)。ネコ男爵は思わせぶりに登場してますが今回のリアクションには登場しないので注意して下さい。第3回で第1部が終わるので、いろいろ伏線を張っているのです。

【次回サブタイトル】(予定)

「大変形! フルメタルが目覚めるとき」

【たとえばこんなPC&アクション】

・ヒーローは、敵と闘うばかりではない。レスキュー系のヒーローを作成し、救助活動専門で活躍するのもよいでしょう!(レスキューシリーズって特撮ものにありましたよね♪)
・開発担当として、科学者等のPCで参加することも可能! 超兵器を開発して戦場に華を添えよう! 
・人間のPCでなくてもOK。ロボットでもいいし、宇宙人・妖怪などでも可(笑)。レッドクロスがなくても変身できたりして?
・行政が頼りにならないなんて、そんなことはないぜと、刑事等のPCで参加も可能! その場合でもピジョンに所属させることは可能! あえて所属の傭兵にはせず、レッドクロスも必殺技もなしにすることもできますが、戦闘は難しいかも?
・せっかく用意してくれた女性NPCと仲良くならないなんて、俺のPCの道に反する(笑)というわけで、エリカを守って、後のラブラブを狙え〜! ストーリーの大筋を無視してひたすら愛の世界に!