新たな戦い

 東トーバを離れた地で、新たな明かりを灯そうと奮闘する少女がいた。
 この地で蜂起の準備を図ろうとするのは、青いセミロングの髪をした異世界人リク・ディフィンジャー。
「まず、力に自信がある者には大きな盾かその代わりになるものを……戦える術を持ってる人には棍棒や棒等打撃系の武器を持ってもらいたいよね」
 ムーア世界の商人を中心にしたネットワーク“リクナビ”。その創始者でもあるリクのもとには、まだ正気を残す多くのムーア商人から必要な武器が届けられる。しかし、肝心の蜂起を狙うための人手は、集まらないでいたのだ。夢魔の現れた東トーバから、リクが脱出させた若者たちでさえ、戦闘には参加はしないと言い出す。彼らが言うには、『とても勝ち目があるように思えない』という。その頃のリクナビは、ムーア各所に新たに派遣された魔物の情報にあふれていたのだ。リクがこれまで見聞きしてきた魔とは違う力を持つ者たち。その出所はムーア宮殿なのだという。けれど、宮殿に出入りする商人でさえ、その内部事情まではわからないのだ。
「亜由香のところで何かあるの?」
 一刻も早く、蜂起の用意を整えて、東トーバの仲間を助けたいと思うリク。その思いとは別のところで、少しづつ新たな魔物の動きは始まっていたのだった。

 それぞれの地で、新たな危機が待ち受けるムーア世界。彼らの未来は、まだ見えない。

続ける