ゲームマスター:田中ざくれろ
【シナリオ参加募集案内】(第1回/全2回)
★★★ 王都『パルテノン』の冒険者ギルドに『彼』が現れたのは、ギルドの受付ホールに置かれた、大きなドワーフ製柱時計が正午の鐘を鳴らしている最中だった。 全裸に近い革鎧や赤緑縞の派手なローブを着こんだ冒険者達で混雑する中、彼は異彩を放っていた。 身長は百五十センチほどで、ぼさぼさの黒髪を頭の後ろで縛っている。 牛乳瓶の底の様にグルグルした黒縁の丸眼鏡をかけ、大きな鼻からは口元まで覆う髭が左右に反り返っている。 薬品の染みがあちこちに見られる白衣の前をきっちりと合わせ、裾を床に引きずっている。 マッドサイエンティスト、いやマッドデザイナーの趣きがあった。 「冒険者に依頼を頼みたいんじゃが」 その男はキンキンした高音で受付嬢に語りかけた。まるで受付口にぶら下がっているかの様な印象を与える。 「私の名前はDr(ドクター)トゥー…………アブラクサス」彼は名乗った。「怪物退治の依頼をしたいんじゃ」 Drアブラクサスは受付嬢に書類への筆記を任せて、依頼内容を語り始めた。 「倒す相手は私が作り出した『レッサー・キマイラ』じゃ」 潜む場所はここから東にあるバークレー山山中。 研究室から逃げ出したレッサーキマイラの特徴は、身体のほとんどは身の丈四メートルほどのライオンで、肩の上辺りに雄山羊の頭も生えている。更に尾は危険な毒蛇になっている怪物だ。勿論、それぞれの頭は独自の意思を持っている。 「全く檻の錠をかけ忘れたのも悪いかもしれんが、ちょっと眼を離した隙に逃げおって……いかーん! ドジこいたー、じゃ。軍を動かしてもいいんじゃが、あまり事をおおげさにすると国庫の研究費用への流用が表沙汰に……ゲホンゲホン! とにかくじゃ」 怪物はライオンの牙と爪が主な武器だが、雄山羊の眼は睨んだ相手を一時的に狂気に陥らせて混乱させる『狂気の眼』を発揮する。尾の毒蛇は一メートルほどの長さで、噛まれるとその部位が麻痺する麻痺毒を持っている。 「見つけて倒せれば報酬は一人、十万イズムじゃ。生け捕りにすれば一人に十五万イズム払ってもいいが、熊を一度に三匹も同時に倒せるほどの強さだからのう」 Drアブラクサスは髭を手でしごきながら、キンキン声でそう言った。 「それと奴が迷惑な理由は他にもある。奴らはライオンの頭は江戸弁で、雄山羊の頭は関西弁で喋るのだが、奴らは下らない駄洒落や漫才が大好きでの。それを他人に聞かせたがるのじゃ。……おお、思い出しただけでも寒気がする」 Drアブラクサスは我が身をかき抱いて、ブルブルと背筋を震わせる。 彼は冒険者ギルドへと冒険依頼の手続きを全て終えると、ギルドを出ていった。 人通りの多い街道。 王城もあるパルテノン中心部近くの緑深き公園の方へと歩み去っていく。 残された冒険者達は早速、この依頼への検討を始める。 「しかし……アブラクサス? あんな奴はここらでは初見だな」 「なんか胡散臭い奴だな」 そんな声も何処かでギルドの何処かで囁かれたりもするのだった。 ★★★ |
【アクション案内】
z1.レッサーキマイラを倒しに行く。 z2.Drアブラクサスを調べる。 z3.その他 |
【マスターより】
はい! というわけで田中ざくれろです。 今回はモンスターとの戦闘とか、そういったものが主体の新シナリオです。 まあ、深く考えずに戦闘アクションしてもらえばいいのですが、折角なのでレッサーキマイラとの漫才やコントの会話、下らない駄洒落を楽しみたいというお方も是非、彼(彼ら?)と遊んであげて下さい。 その時に「キマイラに使ってほしいネタ」もよければ、アクションに添えてお書き下さい。 というか、ネタを絶賛募集中です。 というか、是非ネタを下さい。 キマイラ以外にも怪しそうな人物が若干一名ほどいますが、彼に絡むアクションもお待ちしています。 こっちは多少、推理系入りますかね。 いやー、誰なんですかねー、あの人。 では、次回も皆様によき冒険があります様に。 |