『カチカチマウンテン』

第三回(最終回)

ゲームマスター:田中ざくれろ

★★★

 『オトギイズム王国』アシガラ地方。
 地球の分断国家の片隅で生まれ育ったジュディ・バーガー(PC0032)は、文化圏が異なる『カチカチ山』の昔話を知らなかった。
 予知者『イザベル』の過去見を又聞きし、すっかり『爆殺』という言葉を真に受けてしまった。
 処刑ダメ、絶対!
 だったがスタート時点からクエストの本質を見誤っていたかもしれない。
 あの時ビリー・クェンデス(PC0096)はスキル『コピーイング』を利用し、偽者の『プレイガールUSA』を判別した。
 そこまでは本当に完璧だった。
 しかし座敷童子の芸人魂が疼き、つい魔が刺してしまう。
 予想通りにコピー出来た『タヌーキー・イン・UK』の変身能力により、ビリーも三人目のプレイガールUSAに変身した。
 三人まで増えたプレイガールUSA。
 ビリーはあっさり悪ふざけの雰囲気に感化され、シャッフル同盟で更なる混乱を助長してしまう。
 真剣味に欠けた、馬鹿騒ぎ。
 こんな雰囲気も嫌いじゃないけど、と痺れを切らしたジュディは真偽不明になった三人を一網打尽にガバチョした。ひょうたん島も驚く力技だ。
 迷彩色が強いジュディのブートキャンプに強制参加させられ、三人のバニーガールは夕日を浴びながらフルマラソンで汗を流す。
「「「カーたん達には内緒だゾー!」」」
 替え歌らしきミリタリーケイデンスの唱和も絶好調だ。
 ドッカーン!
 そして突然起こった無慈悲な爆発!
 マニフィカ・ストラサローネ(PC0034)は何んとなくのメタ視点からタイムリミットを予感したが、それは見事に的中していた。
 背中で時限爆弾が起爆した一人のプレイガールUSAが、サーカスショーの如く宙を舞った。
 ジュディは爆発を止められなかった。
 だが『爆殺』という状態には程遠く、マニフィカもよもやタヌーキー・イン・UK落命かと焦ったが、幸いにも大火傷だけですんだ。
 じゃれ合う三人のプレイガールUSAに教練を強制したジュディだが、うっかり時限爆弾の没収を忘れてしまった。本来ならば極めて重大なミスのはず。だが爆発で大火傷を負ったタヌーキーは、それでも軽症のダメージですんだらしい。
 りありい?
 勿論、幸運や偶然の産物じゃない。恐らく爆弾の威力が意図的に抑えられていたのだろう。
 もしやプレイガールUSAの方は最初からオーバーキルを狙ったわけではなかった?
 これでは正義が暴走した過剰行為とは呼べない、とジュディ的にも許容範囲であり、そうなると話が違ってくる。
 おーまいがー!
 古典的なプラグマティズムを体現するジュディは、なるべくシンプルに理解した。
 つまり致命的にシリアスな展開は、プレイガールUSAには「ノーサンキュー」という事だ。
 マニフィカも理解した。アドリブで『ドッカーン山』に改変されても、カチカチ山の基本的なストーリー展開は変わらないらしい。
 次の泥船イベントが、ストーリーが定石通りに進むかの最後の機会だろう。
 ジュディはプレイガールUSAの行動を見守り、正義から逸脱しそうになったら指導すべくに方針転換する。

★★★

 さて、ふざけすぎたビリーはしこたまアンナ・ラクシミリア(PC0046)に怒られた。
 ぶっちゃけ自業自得であった。ビリーも自覚はあるので、地面に土下座しながら怒りの嵐が過ぎ去るのを待った。言い分がないわけではなかったが、あえて藪蛇を避けるべく神妙な態度を示した。
 すっかり暮れた紫紺の風景の中、冒険者を引き連れたプレイガールUSAとタヌーキー・イン・UKが辿り着いた湖には船が二艘、岸に繋がれている。
 大火傷を負ったタヌーキーであるが、意外と元気らしい。
 ビリーの治療も必要なさそうだ。
 湖に船を浮かべ、夜釣りと洒落込めるほどにはだ。
「じゃじゃじゃじゃ〜ん♪ ここがあたしの秘密にしている豊漁の釣り場所だよ」
「ほほぉ。ここは確かに釣れそうだねえ」
「どちらの船がいいかしら。好きな方を選ばせてあげるわよ」
 白い手が、湖の岸を指し示す。
 プレイガールUSAが用意した二艘の船。
 一艘は小さな木の船である。一般にボートと呼ばれている小舟で、最小限の粗末な船だ。
 もう一艘はそれよりは大きな漁船であった。錦に飾られた帆を張り、一人で舵輪を操縦するのも可能だが、船全体が派手な布で隙間なく覆われていた。まるで誕生日のプレゼントの様なラッピングで、布には『タヌキ大明神』『豊漁祈願』『不沈艦』『大鑑巨砲主義』といった派手な筆文字が躍っている。
「ボロウサギ号と不沈艦あんころもち丸だよ」
「ほぉ。これは何から何まで僕好みだねえ」
 そう言って、茶色い毛に覆われた指をタヌーキー・イン・UKは一艘の船に向けた。
 果たして、彼が選んだ船は……。
「不沈艦あんころもち丸。何から何まで、僕の為にあつらえられた様な素敵な船だね」
 自分の選択に、悦に入った表情を見せるタヌーキー・イン・UK。
 これを見ていた冒険者達は「やっぱりこっちを選んだか」という顔をしたが、タヌーキー・イン・UKとプレイガールUSAの二人は気づかれなかったようだ。
 あくまでも全ての事象はカチカチ山をなぞって進んでいくようだ。
「ふたりともなかがよくていいですねぇ」そう言ったリュリュミア(PC0015)は「仲良きことは美しきかな」といった視線を岸から二艘の船に向ける。「あんころもち丸はりっぱですねぇ。やっぱりタヌキさんはこっちにのりたいんですねぇ」
 言いつつ彼女は自分の船を用意する。『しゃぼんだま海中仕様』があるのだ。
 彼女は魚釣りには興味がない。だが湖面にはまるで蓮が覆う様に、ヒシという植物がびっしり繁茂していた。葉の形がひし形をしているヒシは調理して食べるととても美味のはずだ。
「たのしんできてくださいねぇ。リュリュミアはおさかなつりにはきょうみないのでいかないですけどぉ」
 リュリュミアの巨大なしゃぼんだまは、一足先に紫水の湖面に音もなく沈んでいった。
 さてようやく説教から解放されたビリーはというと、夜釣りの為に用意された二隻の船を見比べる。
 アンナもまさか乗れない船とは思わなかったが、ひと通り船体は確認する。
 すると。
「何ですか、これは!? 船が土で出来ているではありませんか!?」
 カチカチ山に知識があるなら予想がついた事を、アンナは真剣に驚いた。
 船体を飾った派手な布の下は、濡れた黒土だった。
 ビリーなどはこれが話に聞く『泥舟』かと感心している。
「僕の乗る船が泥土だって? まあ船体は大きいし、船としては立派だし何とかなるだろうよ」
 タヌーキー・イン・UKは重大な事実をあまり気にしていない様子で、意気揚揚とあんころもち丸に乗り込む。
 ビリーはその様子を生ぬるい視線で見送った。
「因果応報(インガオホー)やなぁ」
「あなたが乗ると言うなら止めませんが……一人で操舵可能といっても、手伝いはいた方が釣りに集中出来るでしょう」
 アンナもそう言ってあえてあんころもち丸に乗り込む。
 マニフィカもあんころもち丸に乗り込んだ。ハッピーエンドを迎える手段に悩みながら『故事ことわざ辞典』を紐解く。
 すると『眼には眼を、歯には歯を』の文字が目に入る。
 地球では世界最古の法律『ハンムラビ法典』の有名な一文だ。石碑に刻まれた世界最古級の成文法典であり、特に復讐法として知られる同害復讐の原理は、後世の法制度に強い影響を与えた。
 成程『非殺』という成果に納得すべきなのだ。
 再び頁をめくると、今度は『乗り掛かった船』という一節。
 これが最も深き海底で微睡む母なる海神の導きであれば、むろん是非もなし。
 やがて沈む運命の泥船に乗り込んだマニフィカとアンナ。
 ジュディを乗せたビリーの『空荷の宝船』は、湖面を走り出した二艘の漁船に並走し、やがて空へと滑り出た。

★★★

 コーン! コーン!という水中ソナーの音が似合う潜水の光景だが、生憎リュリュミアのしゃぼんだまはそんな音など出さずに無音で水中を進む。
 湖も中央に近い。
 水中は、水面を繁茂するヒシの葉が柔らかな茎を垂らし、まるで土砂降りの如き様子だった。
「ふたりがおさかなつりにいってるあいだにリュリュミアはすいちゅうをおさんぽしますぅ。ヒシの実をたくさんあつめてヒシごはんとヒシ茶をつくっちゃいますぅ」
 既に巨大しゃぼんだまの中は、採り込んだヒシの実で一杯である。ヒシの実は茹でるとホクホクと甘みを帯びて美味となる。熟すると固くなる殻も、細かく砕いて茶の代わりに出来る。
 残念ながら旬は秋なので今は時季外れだが、寄生虫に気をつけて生では食べないのと灰汁抜きを怠らなければ食する事は可能であった。
 リュリュミアは彼女らしからぬ欲張りでヒシの収穫を稼ごうとする。
 その頭上ではボロウサギ号とあんころもち丸が水面に釣り糸を垂らしていた。
「こんな静かな湖で釣りというのも風雅なものだねえ」
 あんころもち丸の船縁で優雅に釣竿を持つタヌーキー・イン・UKは、水面下で泥船が静かに崩れていくのに気づいてないらしい。
 舵輪を握るアンナは彼を見ながら冷や冷やしている様子だ。
 同乗しているマニフィカの心中も同じだ、
 赤髪の王女は思う。
 世の中には『予定調和』という言葉を極端に嫌悪する人物がいるらしい。
 それは運命論と言い換えても構わないだろう。多分『自由意思』を絶対視するくらい盲信しているのだ。
 それはある種の思考停止に感じられる。
 このオトギイズム王国ですごしていると、自分も物語の登場人物と化した様な錯覚に陥る事がある。
 まあそれもまた貴重な人生経験で、今や彼女にそれに対する忌避感はない。
 『カチカチ山』の基本的なストーリーに従い、やはりタヌーキー・イン・UKが泥舟を選んだ。
 オトギイズム王国のセオリーに従うなら、タヌーキー・イン・UKが乗った舟は沈没する運命にある。
 最後までつきあうべくマニフィカも同じ舟に乗った。水中はホームグランドであり、自分が溺れる心配は皆無だ。
 タヌーキー・イン・UKが追い詰められた時に改心と更生を促し、溺死する直前に救出できれば彼女は幸いだ。
 ジュディもさすがに見殺しは出来ないが、ギリギリまで救出活動は我慢すべくでいる。
 ビリーとジュディはそれぞれのはっちゃけた行動を反省し、自前の舟として空飛ぶ『空荷の宝船』を取り出し、他の人間も飛空船に誘った。
 サポート要員として上空待機のポジションに着いたのだが、宝船に乗ったのはビリーとジュディしかいなかった。
 『かちかち山』のストーリーラインに沿うなら、タヌーキー・イン・UKが乗った船は沈没する予定だ。
 これも悪行に対する報復の一つだろうが、正義の反対とは、悪ではなく、また別の正義の様だ。
 全くもって色色な正義がある事を、ジュディは今回の一件で再認識した。
 プレイガールUSAの真意も確かめたかったが、結果的に彼女と友誼を結べればそれで幸いだ。

★★★

 とっぷりと日は暮れ、今は天上に金の砂を散らす様に星が瞬いている。
 小さな船でコイやフナ、ナマズなどを釣っているプレイガールUSAの瞳は期待に小悪魔っぽく輝いている。
 あんころもち丸の喫水線は異様なまでに低くなっている。その周囲は流れ出した泥が湖水を汚していたが、夜の暗さではっきりとはしないのだった。
「そーれ。今度は大ガエルが釣れたぞ」
 あんころもち丸に乗るタヌーキー・イン・UKが赤や青の灯を点す提灯の中で、自分の釣果を誇る。
 舵輪をアンナに任せ、見張りをマニフィカに任せ、タヌーキー・イン・UKの釣りはお大尽ぶった優雅な遊びの様子を見せる。
「いやー、やるわねん♪」とプレイガールUSAが閉じた扇子で自分の額を調子よく打つ。
 ここに来てプレイガールUSAの態度はまるで太鼓持ちだ。
 その彼女の眼が「さて、そろそろいいかしらん」とキラリと光った。
 湖の真ん中でプレイガールUSAは「木の船すいすい♪ 泥船ぶくぶく♪」とボロウサギ号の船端を櫂で叩きながら歌い出す。
「何だい。その歌は」とタヌーキー・イン・UK。
「この歌を歌えば魚が沢山寄ってくるのよ☆ 木の船すいすい♪ 泥船ぶくぶく♪」
「ふーむ。呪歌か何か。――よーし、木の船すいすい♪ 泥船ぶくぶく♪」
 乗っかったタヌーキー・イン・UKも、木の櫂で自分のあんころち丸の船端を思いっきり叩いた。
「もっと力一杯! 木の船すいすい♪ 泥船ぶくぶく♪」
「こうか! 木の船すいすい――!! 泥船ぶくぶく――!!」
 タヌーキー・イン・UKの太い櫂が泥船の縁を力一杯叩いた途端、そこから船体に大きな亀裂が走り、あんころもち丸は裂けながら部品ごとにひっくり返り始めた。
 転覆したあんころもち丸は船体を覆っていた飾り布や錦の帆、幾つもの提灯などに分解しながら湖水に泥渦を作りつつ沈んでいく。
 巨大な泥船はあっけなく壊れ、沈む。
「助けてくれぇ。僕は泳げないんだぁ。ぼーくーは水には弱いんだあ弱いんだあー」
「婆様の仇だ、思い知れ!」
 タヌーキー・イン・UKは、プレイガールUSAの船に助けを求めるが、逆に櫂で頭を押さえつけられ無理やりに沈められる。
 ここで見事に本懐を果たすと思われた二匹の獣の復讐劇だが、それを食い止めようとする者達はいた。
 水場ともあれば、人魚のマニフィカの本領発揮。
 下半身を流線型の魚型にしたマニフィカは、いち早くタヌーキー・イン・UKの身をかっさらい、これは木製であり浮かんでいたあんころもち丸の帆柱に担ぎ乗せる。同じ帆柱にはアンナも乗って避難していた。
「こら。タヌーキー・イン・UK」とアンナは真剣な顔つき。「お婆さんを痛めつけた罪は重いのですよ」
「今ならばまだ改心と更生の余地があると見ます。心からお婆さんとお爺さんに謝り、もうこんな事はしないと誓いなさい。されば助けてあげます」とマニフィカは眼に力を込めて睨む。
「こら。勝手な事しないでよね」とプレイガールUSA。「これからワクワクとドキドキのお仕置きタイムなんだから」
 勿論ウサギ娘の言う事など素直に受け入れない二人である。
 プンスカ怒るプレイガールUSAを無視した二人は上空で待機していた空荷の宝船に助けを求め、ビリーとジュディは要請に従った。
 キザタヌキを抱えて、空荷の宝船に飛び移るアンナ。
 ジュディはその二人を受け止める。
「こらぁ。あたしの計画が!」
「計画などとっくの昔に解っていマシタ!」とジュディ。「しようとしていた事は、ウイ・シー・スルース・ユー、お見通しです。観念しなサい! プレイガールUSA!」
「何故あたしの正体を知っているのよ!?」
「それは……――」ここで昔話のカチカチ山の事を説明しようとしたマニフィカはハッと口をつぐんだ。オトギイズム王国がパロディの原理に基づいている国だとしても、それを住人に直接知らせるのは如何なものか。信じられないのは当然として、もしかしたら自身の予定調和を知る事で何か運命に支障が出てきたりしないだろうか。
 自分の運命を知る。
 そこから生まれる『思考停止の否定』の結論は現実にはよく解らないのだ。
 眠れる奴隷の覚醒。
 賢者ならば、それをその様に比喩するかもしれない。だが――。
 マニフィカが口を閉じるのを無視してムキーッ!としているプレイガールUSA。
 と、その小さなボロウサギ号が、水中から浮上してきた大きな水球に押しのけられ、泥の波間にひっくり返った。
「あのぉ〜」と浮上したしゃぼんんだまに山ほどヒシの実を詰め込んだリュリュミア。「どろのかたまりがあちこちにしずんできてぇ……なにがあったんですかぁ」彼女は小さな声で怒っているようであった。

★★★

「……で、結局そのウサギ娘は皆にその飛空船に助け上げられた後、いつの間にか消え去っていたというわけかい」
「脱兎の如く――っちゅーか逃げ足は速い娘やったなぁ、ほんま」
 あの騒動から、既に数日。
 冒険者ギルド地下一階の酒場で『過去見のイザベル』にビリーは事後の詳細を説明していた。
 あの日、沈む泥船から助け出されたタヌーキー・イン・UKは反省して、素直に頭を垂れた。それが彼の本性から察するに真意であったかどうかは怪しいが、冒険者達は皆タヌーキー・イン・UKの弟の『タヌキダ・タロー』から依頼報酬一〇万イズムを受け取る権利を得たのだ。、
 弟と一緒に去る前に、タヌーキー・イン・UKは騒動の種の一つとなったお爺さんとお婆さんの家に冒険者達と訪れた。、
「えーと。本当に悪い事をしました。すみませんね」
 キザなタヌキ男の謝罪をあっさりと受け入れた老夫妻。奪われていた貯えや食料のほとんどが返ってきたせいもあるのだろうが、本当に素朴すぎるほど謝意を素直に受け入れた。
 この時ビリーは何事もアフターケアが大切だろう、と寝たきりだったお婆さんに治療とリハビリを施す。
 まさに本領発揮と言わんばかりに、ビリーの鍼灸と『指圧神術』は弱っていたお婆さんを見違える程に回復させた。
 返す刀と言わんばかりにお爺さんまでに健康術を施して、二人の寿命を幾らか継ぎ足したビリーは、二人が拝んでくるのを止めさせる事が出来なかった。
「まあ。ビリーは元元神様見習いだからいいのではありませんか」
 アンナは木の椀によそられたヒシご飯を両手で受け取る。
「みなさん、たあんとめしあがってくださいねぇ」
 リュリュミアは椀にヒシご飯を更によそる。
「このヒシライスはとてもヘルシー、身体にいい成分がしこたま入っているトカ」
 チョップスティックを器用に使って、ジュディは山盛りのヒシご飯を胃袋にかっくらった。
 マニフィカは湯呑のヒシ茶を飲む。現実はまた民話と違う結果になった。パロディの宿命だから結局はこれでもいいのかもしれない。
 そして冒険者ギルド地下一階。
 皆の回想は、窓のない広間に溶けた。
 あの迷惑なウサギ娘はどうなったのか。
 もしかしたらまた会うかもしれないという予感は、言葉を交わさずとも皆の共通の想いなのだった。

★★★