ゲームマスター:田中ざくれろ
【シナリオ参加募集案内】(第1回/全3回)
★★★ 『オトギイズム王国・羅李朋学園自治領』。 白雲。藍の空に、黄色地に黒の虎縞UFOが音もなく飛ぶ。 「何だ!? 何だ!?」 「鳥か!? 飛行機か!? いや阪神ファンか!?」 空を見上げる学生達が地上で騒然となる。 足元の街並みはアニメキャラの絵姿があちこちに貼りついていて、見るからにオタクの集団。 青銀色の巨大飛行船を背景に、カラフルなオタクの町上空を虎縞のUFOが飛翔する。 と、町上空の中央でUFOは止まった。 ぴるるるるるるるる……。 底部ハッチが開き、乗組員らしき女性が一人降りてくる。 着ているのは虎縞柄の十二単(じゅうにひとえ)。 「ああ、もう鬱陶しいっちゃ!」 空気抵抗を受けて慌しくはためく十二単を彼女は一気に脱ぎ捨てた。 タイガーストライプと緑色傾向のクリアカラーと、うすだいだいの肌色。 クリアグリーンに色がにじむ髪をなびかせ、虎縞ビキニとブーツだけで身を飾った、半裸の美少女。 仰ぎ見る地上の民は、その姿を追いかけて混雑の街を走る。コスプレと制服とオタクファッションの人人が遥か上を見上げ、声を挙げながら。 「この恰好じゃ目立つっちゃね。光学迷彩と音響迷彩を作動させるっちゃ」 耳のいい人間はその呟きを聴けたかもしれない。 美少女は手首に着けた腕時計の様な機械を操作する。 するとその姿と風切る音がふと消えた。 一切が透明化し、美少女の姿は羅李朋学園自治領の空に溶けた。 地上の学生、元学生達は空に消えた美少女を一生懸命探し、ざわつく。 あの少女は誰だ。 今まであのような人物が現れた事はあったか。 いつのまにかUFOまで消えている事に気づくのはそのずっと後の事だった。 ★★★ 新しくそれよりも大きな虎縞UFOが現れたのはその二日後の事だった。 そのUFOは町の上空に突然現れたと思うとすぐに底部ハッチが開け閉めされ、滞在時間が一分もなくすぐに消えた。 これは一体何だったのだろうと皆は思ったが、先日に現れた虎縞UFOほどには話題にならず、羅李朋学園自治領はその日はすぐに日常へ戻ったのだった。 ★★★ 更にその三日後の事。 不夜城と化している電飾の街・羅李朋学園自治領。 その深夜の空を今度は青い火球が駆けた。 火球は尾を曳くままに空を横切り、彼方の山へと落ちていった。 ★★★ 更にその翌日。羅李朋学園自治領の夜空を今度は赤い流星が一筋流れていった。 「おいおい! こんなに変な物達が、何でこの町の街の上空に現れるんだ!?」 「この赤い星は以前も記録を見た気がするぞ! ……確か赤い薔薇とかチューリップやらが村人達の頭に憑りついたとかいう話だったと思う……」 「じゃあ。またパスツール地方の村に落ちたたのか……!?」 「いや、方角はまるっきり違うな……」 しかし夜が明けてその過ぎていった平野付近の村で、飼い犬野良猫の類や飼われている牧畜が一斉に大きなとんがり帽子をかぶったという変な噂が流れてきた。(参照シナリオ『赤い流星』) ★★★ こんなに空から訪問者があるとはどういう事だろう。 自治領住民がそんな事を考えていた時、不気味というか不条理な怪人出現の噂が一瞬で町を駆け抜けた。 その怪人は筋骨隆隆たる若い男性だ。 迷路の様な路地が走る下町。 ほぼ全裸に近いその姿は見る者全ての記憶に残るほど立派だが、その顔は誰の印象にも残らない。 何故ならばその顔は虎縞の女性用下着を食いこませる様にかぶって、表情を解らなくしているから。 「うおーっ! 姫は何処じゃーっ!」 身体には男性用下着ブリーフのみを身に着け、叫ぶままに夜の自治領下町を駆け抜けて、出会った女性の後を追いまわす神出鬼没さ。 追いかけられる女性を救おうと領民達は武器を手に立ちはだかるが、それは一陣の暴風の様な筋力であっという間に蹴散らされてしまう。 「うん……お前じゃないよな、確か」 しかし怪人は直接の乱暴を追いかける女性に対してする事はなく、俊脚に物を言わせて捕まえた後、満足したのか何処かへ消えてしまうのだった。 そんな日が連日続き、自治領民はこの怪人退治を冒険ギルドへの依頼として出す事にした。 ★★★ 羅李朋学園自治領の冒険者ギルドにある日、一人の少女が現れた。 その十四歳ほどの人目を惹く赤毛の少女は、身体を見た事もない衣装で覆っていた。 衣装、なのだろう、その姿はまるで裸の身体に密着した様な青いフィルム状のスーツで、首から下をすっかり包んでいた。指から足先まで全て一体の青。ボディラインは丸出しで何かを隠している様な凹凸はない。 その少女は受付嬢の所まで来ると、左手に持っていた青い小さな水晶球を彼女の前にかざして何事かを話しかけてきた。だが、それは冒険者ギルドの受付ホールに集まっている雑多な冒険者の誰も聞いた事のない言葉だった。 「依頼をしたい」 少女の声ではなかった。若い男の声がその水晶球の中から聞こえた気がする。 「巨大怪獣を持ち出し、勝手にこの星へ連れ込んだ者がいる。そいつを捕まえたい」 「巨大怪獣?」ギルド受付の登録係は思わず聞き返していた。「この星?」 勿論、これはギルド内の冒険者の耳目を集める。 少女はこの意見はまずかったかな、という表情をした。ストレートすぎたかな、とでもいう様な。 「ともかく怪物をこの王国へ連れ込もうとした者がいる。そいつを捕まえたい」 若い男の声の訂正に「それは王国軍の仕事なんじゃないか」とこの受付ホールにいる見物人から漏れ聞こえる。 とにかく一応にも依頼書を作っている受付係が書類にペンを走らせるのを止めて、少女に訊き返す。「報酬は?」 「ここにある」若い男の声と共に、少女は握っていた掌を開いた。そこには多角形にカットされたダイヤモンドらしき小さな宝石が一つ握られていた。「本物だ。学習したからな」 「ちょっとお借りします」 受付係はその宝石をつまみあげると、ホールにいた身なりのいい屈強な男に手渡した。 その男は丁寧に宝石を扱って、階上へ行く。五分もしないで帰り、受付係に戻す。「五〇万イズムの価値があるそうです」 「では報酬は、宝石の両替にギルドが一%を取った四九万五〇〇〇イズムを依頼参加者が山分けする、という事でよろしいですね」 「いや、そこまで行くなら四万五〇〇〇イズムは私達の滞在費に使おう。私達はこのギルドの宿屋に滞在する。残りの四五万イズムが報酬だ」 そこまで語った依頼者の言葉を受付係は書類に書きつけ、最後に訊ねた。 「あなたのお名前は」 「キリ。キリ・オーチュネだ。……赤毛のキリでもいい」 若い男の声が、少女の名を告げた。 ★★★ |
【アクション案内】
z1.虎縞ビキニの美少女を捜して羅李朋学園自治領を駆け回る。 z2.虎縞パンツをかぶった変態男を捕まえる。 z3.赤い流星が落ちたと思しき地点を捜索する。 z4.冒険者ギルドの赤髪のキリからの依頼を受ける。 z5.その他。 |
【マスターより】
★★★ 今回のシナリオはパロディが目白押しですが、元ネタを知らない方にも楽しめるよう頑張っていきたいと思います。 でも、どーせ浅はかなパロディさ(笑) 皆さんは「パロディーだからこうしなくてはならない」「パロディーだからこうしなくちゃならない」とか考えず、アクションでドカーン!とぶつかってきてください。 では、よき冒険があります様に。 ★★★ |