『ターキッシュの備忘録』

ゲームマスター:田中ざくれろ

【シナリオ参加募集案内】(第1回/全1回)

★★★
 『ターキッシュ・ザッハトルテ』というなかなか有名な文筆家がいる。
 小太りな身体をなかなか洒落た衣装で包み、口髭の先をワックスで尖らせたその男が『冒険者ギルド』に現れたのは雨の日の午後だった。
 この国ではまだ珍しい濡れた『傘』をたたみながら、彼は様様な冒険者達が群れている一階受付ホールを横切って、冒険依頼の受付窓口へとやってきた。
 その応対に当たるのは窓口係のトレーシ・ホワイト嬢だ。
「冒険のご依頼ですか?」
「冒険をしてほしい、というよりは、私にその冒険譚を聞かせてくれる冒険者を依頼したい」
 ターキッシュは一般向けの冒険物の小説を執筆して、出版する事を生業としている、いわば冒険物作家だった。
 出版物は実に数十に及び、主に字の読める一般庶民によく売れているらしい。
 彼の小説の中で英雄は火を吐く木馬に乗って空を飛び、美しく半裸の女冒険者はトロールの群に向かって大剣を振るい、子供の魔法使いは大いなる幻術を使って、悪の帝国の軍隊を一掃した。
 勿論、架空のものだ。
 だが小説は発想に富み、それなりにリアリティがあって、冒険者が読んでも面白かった。
「アイデアの枯渇なんだ……」ターキッシュは少少つらそうに受付嬢に語った。「面白い話が思いつかなくて、もう半年になる。どうか、過去に面白い冒険をした冒険者達にその冒険譚を語ってほしい。それを自分の想像力を掻き立てるカンフル剤としたい。話を聞かせてくれた冒険者には一人、四万イズム出そう。架空でも構わないのだが……本音を言えば、実際にその身で体験した事を話してほしいな。あと、その事を小説に書いても大丈夫だという許可をくれる事だ、勿論ね」
 そういう依頼を書類にまとめ、ターキッシュは自分が書いた冒険小説の登場人物の様な冒険者達に見送られながら、傘をさして冒険者ギルドを出ていった。
 外はまだ雨が降っている。
 湿度の多いギルドの受付ホールの大型掲示板で、ターキッシュの依頼書は多くの冒険者の好奇の眼にさらされた。
 ターキッシュは自分の家の書斎で、この依頼書に触発された冒険者の訪問を待っているだろう。

★★★

【アクション案内】

z1ターキッシュに自分が体験をした過去の冒険を語る。
z2.ターキッシュの仕事を邪魔してみる。
z3.その他。

【マスターより】

★★★

 PCにとって一番、記憶に残っている冒険とはどんなものでしょう。それを今一度、思い起こしてみませんか。
 勿論、私(田中ざくれろ)のマスタリングしたシナリオでなくても構いません。
 ただ「○○マスターのシナリオ『××』参照」とかではなく、アクション内でPCの言葉として語って下さい。
 今回は最後に、皆さんが語ってくれた冒険を無理やりつなぎ合わせて「ターキッシュ・ザッハトルテの書いた一本の小説」を作ってみようと思っています。勿論、本文を丸丸書くと大変すぎますから概要になる予定ですが。
 あ、その場合、登場人物の名前はPCではなく、オリジナルの仮名になりますので。念のため。
 では、皆様によき冒険があります様に。

★★★