「呪われた魔剣と剣聖十一段」第2回(推理編)

ゲームマスター:夜神鉱刃

【シナリオ参加募集案内】(第2回/全3回)


★インターミッション

 皆の事件調査が終わる頃には既に夕刻に差し掛かっていた。
 マギフォンの風紀SNSを使って、全員が集めた情報は既に共有されている。
 あとは、以前みたいに風紀委員室で事件の真相を解明するのかと思っていたら……。
 スノウ委員長(NPC)から意外なメッセージが届いた。
『事件の真相究明は犯行現場で行います。皆さん、犯行現場に来て下さい』

「うう……。私を呼ぶ声が……。ふふ、そうです、私は……剣聖……!!」
 ふらふらとうなされているファングマン教授(NPC)が犯行現場へ入る。
 犯行現場には誰もいない。
 いや、ただ魔剣だけが、ぽつりと床に落ちていた。
 ファングマンは、そおっと、魔剣へ手を伸ばす……。

 やって来たのはファングマンだけではない。
 レオン・ハボレム(NPC)もいた。
「くう……。頭がいてえ……。なんだ、この俺を呼ぶ声は!? 俺は、一体!?」
 頭痛にうなされているレオンは犯行現場に入って行く。
 すると、そこでファングマンが魔剣を手にしようとしていて……。
「おい、ファングマン! その剣に触るなっす!!」

 2人が揉み合いになる瞬間、出入り口からはスノウ委員長を筆頭にあなた達が入って来た。
「どうやら……。罠に掛かったようね?」
 スノウはこの日、調査を単独行動で行っていた。
 それは、犯人を罠に掛ける為だ。
「父の受け売りだけれど、刑事の鉄則では、犯人は犯行現場に戻ると言うわね?」
 ファングマンもレオンも血相を変えて否定し始める。
「ち、違うのです、スノウさんに風紀の皆さん! 私、ファングマンは決して犯人ではありません! 私は誘導されたのです!」
「お、俺も違うっすよ! 変な頭痛がして……気が付いたらここにいたっす!」
 そう、スノウが仕掛けた罠とは……。
 犯行現場から隙を見て『魔剣』を持ち出し、頃合いを見て『魔剣』を再び犯行現場へ置いたのだ。
 凶器である『魔剣』が犯行現場の床にぽつりと置かれていたのは確かに「不自然」だった。
 だが、犯人であるならば、これを「チャンス」とも捉えるだろう。
 なお『魔剣』の持ち出しと罠仕掛けに関してスノウは警察の許可を取ってある。

「ほう? 思考誘導とは……。また、穏やかでは……ありませんね?」
 コーテス副委員長(NPC)が1テンポ遅れて犯行現場へ入って来た。
「あのよお、コーテス? なんで俺までいなきゃいけねえの? そろそろ説明してくれよ? あ、言っておくが俺は犯人じゃねえぞ?」
 コーテスの隣には、なぜかブラスト・ゴールドブレイズ(NPC)までいる。
 しかも手元に高価な魔導書まで抱えていた。
「いや、さっきも言ったけれど……。ブラスト、君は犯人では……ないよ。重要参考人として……今、君が必要なだけなんだ……」
 皆の注目が魔導書に集まる。そうか、前回のヴァイスが酒で買収されたのに続き、ブラストは魔導書で買収されてしまったのか……?
「ち、違げえからな! 俺は決してコーテスに買収なんかされてねえぞ! 俺はなあ、黒魔術師として黒魔術の良心に従い、協力を申し出たまでさ!」
「そう、今回、問題になるのは、そこ……なんだよ。黒魔術のエキスパートが……事件の解決には必要だからね……」

 最後尾に控えていたウォルター風紀顧問(NPC)も入って来た。
 ウォルターも一応先生なので、いざとなったら最後尾で皆を守るつもりだったらしい。
「どうやら今回の役者は揃ったようですね? 警部だけは用事がある為席を外していますが……。少なくとも、『犯人当て』が十分にできる要素は集まっていますし、事件の真相でも推理しますか? まあ、推理する場所が犯行現場とはまた殺伐としていますけれど……」
 風紀側から推理バトルの宣言を受けるが、ファングマンとレオンは首を横に振り続ける。
「本当に違うんです! 私は何もしていません!」
「俺も違うっす! 皆さん、信じて欲しいっす!」
 呆れたスノウはため息をついた後、シメる。
「そう? だったら……。ファングマン先生もレオンも自分が犯人ではないと言うならば……それをご自分で弁明されてはいかがかしら? さて、御託はもう結構よ。真相究明を始めてしまいましょう……。まず、誰から推理を披露してくれるのかしら?」

 問答無用で始まった風紀委員会の推理バトル。
 事件解決に向けて、皆さんの推理をお聞かせ願おう……。

【解説】


<概略>

 このシナリオは、前回の第1回(調査編)の続編である第2回(推理編)です。
 第2回では、その名の通り、皆さんに推理バトルをして頂きます。

 時系列的には、第1回での各自の調査が終わり、同日の夕方頃、犯行現場に集まった所から始まります。

 集まって頂いた皆様には、ずばり、この事件の真相を推理して頂きます。
 主なテーマは、シンプルに「今回の事件の犯人は誰か?」です。
 成功条件は、「事件の真相を解き明かす事」です。

 第1回の調査までで事件を解明できる情報はほぼ集まっています。
 数値にすると90%程度以上まで事件解明に必要な情報を揃える事ができました。
 調査結果を元にして皆さんには、推理して頂きます。

 繰り返しますが、もし、第2回の推理編で事件解明へと至らなくても、ゲームオーバーややり直しになる事はありません。ただ、NPCに美味しい所を持って行かれるというペナルティがあるだけです。

 では、事件関係者のおさらいをしてみましょう。

<容疑者&重要参考人一覧>

●容疑者1 レオン・ハボレム

 聖アスラ学院魔導剣術学部所属の1年生です。風紀委員会の過去2回の大きな事件(「聖アスラ像首切り事件」と「TM事件」)での活躍を知り、風紀に入りたい、と門を叩きます。名字がハボレムなだけあり、剣聖ハボレムの子孫です。レオン自身も魔導剣術の腕前は天才的であり、わずか1年生の時点で魔導剣術七段の実力です。学院の魔導剣術大会で優勝したりもしました。当然、ブラストなどの優等生から目を付けられて、けんかが絶えない問題児であったりします。
 今回、レオンも捜査に加わるのですが、スノウは「彼が犯人では?」と疑い、レオンのことも調査対象に入れます。密室事件の犯行に使われたスキルはレオンには使えませんが、「もしかしたら何かの手違い(剣聖の力を覚醒させるなど)でレオンにも使えたのでは?」とスノウは推理していました。
 密室殺人が起こった当時、彼はブラストと学院でタイマンをしていました。そのことがより一層、スノウの心証を悪くしていたようです。

 未来さんの決闘調査とレオンの自己申告の報告書(どちらも第1回の調査編)のお陰で彼の情報も段々と可視化できました。
 果たして、彼は犯人なのでしょうか?

●容疑者2 ウルフ・ファングマン

 魔導剣術学部の教授であり現学部長です。年配の魔導剣術家ですが、位は十段で、剣聖にはなれませんでした。剣聖が使う奥義的なスキルである「邪神滅殺冥府斬」は使えません。ハボレムの昔の仲間でもある一方で、どうしても超えられない一線を見せつけられていたので、心の奥底ではハボレムを妬んだり恨んだりしていました。事件当日は夜間の学部生達を教えていたようです。魔導剣術学部の保管室の管理人でもあります。また、今回の密室事件の第一発見者でもあります。スノウは、「動機の観点から彼が怪しい」と疑いました。

 ウォルターの報告書(第1回の調査編)のお陰で彼の情報も段々と可視化できました。
 すごく怪しいですが、果たして、彼は犯人なのでしょうか?

●容疑者3 アスラ学院長

「学院長も怪しいのでは?」とスノウが疑います。当日、事件が起きた時、学院長は学院にいないどころか、イースタ大学にいました。イースタ大学との学術交流でしばらく出張していたのです。つまり、学院長にはアリバイがあります。なぜ、学院長が怪しいのか。それは、学院長も魔導剣術の位が十一段だからです。ハボレムほどまでの超天才的な実力はありませんが、数少ない剣聖の一人です。そして、「邪神滅殺冥府斬」を駆使できる一人です。
 現状、聖アスラ学院関係者の中では、「邪神滅殺冥府斬」を放てる人物は『2人』しかいません。ひとりが既に亡くなっているハボレムで、もうひとりが学院長です。なので、スノウの父のブロッサム警部は、「学院長がスキルを放って殺し、何らかのアリバイトリックを使ったものだ」とにらんでいたようです。

 ブロッサム警部の報告書(第1回の調査編)のお陰で彼の情報も段々と可視化できました。ですが、アスラ犯人説はありえないという話でした。
 そもそも学院長は事件に関わっていたのでしょうか?

●備考

 上記容疑者3人は、第1回の時点でスノウが推理した容疑者達です。飽くまで「スノウの推理」ですので、「上記人物達以外の容疑者」を疑って推理しても問題はありません。

●重要参考人 ブラスト・ゴールドブレイズ

 聖アスラ学院黒魔術学部所属の2年生です。黒魔術の実力もあり、ペーパーでは全校トップの優等生ですが、性格が残念な問題児です。『3番目の魔術師事件』からの再登場となります。魔導剣術大会でレオンに負けて2位になったことから、レオンに目を付けます。レオンとタイマンするという話になり、夜の校舎にて魔術で殺し合いをします。その当時、夜の校舎で盗難未遂事件や密室事件などが起こり、レオンと一緒にいた彼も疑われました。

 未来さんの決闘調査とトムロウの報告書(どちらも第1回の調査編)のお陰で彼の情報も段々と可視化できました。
 また、コーテスの推理によりブラストが重要参考人として指定されました。

<被害者一覧>

●被害者1 ストロング兄弟

「呪われた魔剣」を盗み出そうとした盗賊の兄弟です。兄がブラック、弟がブラウンです。ストロングは名字ですが、皮肉にも弱い盗賊達です。盗賊としての実力は低く、いつも大物の盗賊になりたいと夢を見ていました。ある日、兄が謎の予知夢を見て、その魔剣を盗み出す計画を立てました。まず剣聖ハボレムの墓から解除キーを盗むことに成功しました。次に学院の魔導剣術学部の保管室から魔剣を盗み出そうとしましたが、警備員に見つかって、あえなくご用でした。その後、謎の死に方をしました。

 アンナさんの墓地調査、マニフィカさんのワスプ調査、呉さんの死体調査(どれも第1回の調査編)のお陰で彼らの情報も段々と可視化できました。
 ストロング兄弟はどういう被害者だったのでしょうか?
 彼らがこの事件で演じた役割は何だったのでしょうか?

●被害者2 ばらばら死体になった警備員5人

 事件の日の保管室での警備員は5人いました。それぞれ魔導剣術三段以上の実力を持つ猛者達です。この実力派5人がばらばら死体になって殺された、という事実が学院にはそれなりに重くのしかかります。犯人は相当腕が立つということでしょうか?

 萬智禽さんの警備員調査と呉さんの死体調査(どちらも第1回の調査編)のお陰で彼らの情報も段々と可視化できました。
 警備員達はなぜばらばら死体になって殺されたのでしょうか?
 彼らはそもそも事件とどういう関係だったのでしょうか?

 以下、萬智禽さんが入手した警備員のデータです。

***

・ジョニー・ドイル 男 30歳 警備隊隊長 火炎の魔剣の使い手 性格は冷静だが熱い 奥さんと子ども1人を持つ 魔導剣術4段

・ロン・ルブラン 男 27歳 警備隊副隊長 風の魔剣の使い手 性格はひょうひょうとしているが真面目 独身 魔導剣術4段

・リック・チェスタートン 男 22歳 新米の警備員 土の魔剣の使い手 陽気な性格 独身 恋人がいる 魔導剣術3段

・ライラ・クィーン 女 25歳 中堅的な警備員 水の魔剣の使い手 おてんばな性格 独身 魔導剣術3段

・リズ・クリスティ 女 23歳 ほぼ新米の警備員 光の魔剣の使い手 控えめな性格 独身 恋人がいる 魔導剣術3段

 備考:全員、聖アスラ学院の出身。魔剣に関してはファングマン(NPC)の指導を受けた。

***

<その他の関係者>

●クラウド・ブロッサム警部

 スノウの父でマギ・ジス警視庁殺人課の鬼警部です。国家公務員上級試験にはパスしたものの、階級は警部補から始められたはずがあえて巡査から始めた苦労人です。本人曰はく、「事件は現場にて足で追うもの」という信条があるからだそうです。性格は良くも悪くも生真面目です。学院の教育方針には賛成していて、風紀委員会にもスノウがいることから悪い印象は持っていません。やや話しづらい鬼警部ではあるものの、捜査に非協力的な訳でもありません。

 警部はアスラ学院長の捜査の為にイースタまで行っていましたが「アスラは犯人ではありえない」という結論に至りました。すぐに帰国しますが、彼は推理で犯人の正体がわかった為、犯人を罠に掛けます。第2回では登場せず、第3回で再登場します。

●剣聖ラファエル・ハボレムと呪われた魔剣

「呪われた魔剣」の元所持者である伝説の剣聖です。魔導剣術の実力は超天才的であり、戦争時代に将軍を務めた後は、聖アスラ学院の魔導剣術学部の学部長と教授を務めました。剣術家としての位は、魔導剣術十一段という、この世界最高の位にありました。最強のスキルである「邪神滅殺冥府斬」という殺人剣のスキルを操ることから特に戦争当時は世界中から恐れられていました。このスキルは魔導剣術十一段である上に特殊な才能がないと扱えないスキルです。

 アンナさんの墓地調査とジュディさん達の図書館調査(どちらも第1回の調査編)のお陰で彼らの情報も段々と可視化できました。どうやら魔剣と剣聖はただならぬ関係だった事が判明しました。入手したその情報を第2回ではどう使いこなすのでしょうか?

●スノウ・ブロッサム

 聖アスラ学院風紀委員長。大学3年生。
 マギ・ジス文学を専攻する文学少女。黒魔術師。
 性格は生真面目でややきつい所もありますが、仲間思いの努力家です。

●コーテス・ローゼンベルク

 聖アスラ学院風紀副委員長。大学2年生。
 歴史学を専攻する歴史少年。白魔術師。
 性格はのほほんとしていますがいざという時はやる男です。

●ハインリヒ・ウォルター

 聖アスラ学院魔導動物学部教授。風紀委員会顧問。
 魔導動物を偏愛する怪しい中年男性。召喚魔術師。(魔導動物を召喚)
 性格はちょっとおバカですが、実は学生思いの天才熱血教師……でもないかもしれませんね。

<推理チップ>

 さあ、皆さん、ぜひ推理してくださいね!
 と、いきなり丸投げされても困る方もいる事でしょう。

 推理作家ではないので、いきなり推理なんて無理です!
 と言われるかもしれません。

 では、事件で問題になっていた事の幾つかを簡単に整理してみましょう。
 以下、こういう事が問題にあがっていましたね。

●そもそも犯人は誰なのか?

●犯人は、単独犯か? 複数犯か?

●犯人は、学内の者? それとも学外の者?

●犯人は、学生? それとも教員? あるいは、それ以外?

●そもそもこの事件には黒幕がいるのか?

●なぜ、死体の内6体はばらばら死体で殺され、内1体はミイラになっていたのか?

●殺害された被害者達の共通点は? 加害者との接点は?

●そもそもどういうトリックだったのか? あるいはトリックそのものがあったのか?

●凶器は結局、何だったのか?

●『邪神滅殺冥府斬』とは、何だったのか?

●剣聖と魔剣はそもそもどうやって、どうして、事件に関与しているのか?

●容疑者リストに出ていた者達の中に犯人はいるのか? それとも別にいるのか?

●犯行の動機は? そもそもこの事件に犯行の動機はあったのか?

●なぜここで、黒魔術師のブラストが重要参考人として出てくるのか?

●「犯人は、この中にいる!」という常套句(じょうとうく)があるが、犯行現場に集まった者達の中に犯人は、いるのか?

*上記の<推理チップ>は、飽くまで参考までにどうぞ。この通りに入力するフォーマットではありません。

<その他>

・第2回にはショップの登場はありません。
・第2回は最低開催人数の制限はありません。
・このシナリオは連続シナリオですが、任意の回のみ参加する事もできます。

【参考イメージ】注意:写真は飽くまでイメージです。実物の商品・実際のサービスとは異なることもございますので、あらかじめご了承ください。


【密室殺人事件】




解説:振り返れば、今までの風紀で起きた大きな事件は、器物損壊罪や傷害罪までの案件でした。今回、一気に密室殺人事件へと飛躍してスケールが格段にアップしています。もはや風紀の学生達が取り組む事件の範疇を超えていますが、皆さんと一緒ならばスノウ達もきっと大丈夫! ぜひ事件の真相を突き止めるまで駆け抜けて行ってください!


【推理バトル】



解説:今回もいよいよ始まります、推理バトルです! ぜひ名探偵となり、事件の真相を究明してみてください。上記の風紀委員会活動写真に登場しているのはミンタカ君(PC0095)です。聖アスラ像首切り事件の時の推理シーンです。ずばっと推理されていました。お写真は真向ILに感謝!

【アクション案内】

y1.事件の真相を推理して解き明かす。
y2.その他

補足1:今回の第2回の推理編は、基本的に推理以外のことはできません。存分に推理バトルを楽しんでください。

補足2:「その他」も一応、用意しました。今回は物語と時系列の都合上、「再調査」ができませんのでご了承ください。また第2回では、推理に集中する為、なるべく犯行現場を出ないようにお願いします。

補足3:特別な関係にあるNPCを推理バトルに呼んでもかまいません。


【マスターより】


 今回の事件は前2回の風紀ミステリシリーズよりも難易度が上がっています。
 ですが、ある事に気が付くと一気に事件の真相に至る単純な事件でもあります。
 私からの最大にして最後のヒントを出しましょう。
 NPCというPBW用語があります。NPCとはどこからどこまでの範囲でしょう?